住宅ローン控除の仕組み
住宅ローン控除は、無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進するため、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から10年間控除する制度です。適用期限があり、今のところ、その期限が来る度に制度の見直しが行われ、延長が繰り返されています。
消費税が増税するタイミングで制度が改正され、最近ではコロナウィルスの影響や契約のタイミングよって控除期間に違いが出るなど適用条件が複雑化しています。表1の①~④が注文住宅と分譲住宅等の控除期間区分の①~④に連動していて、それぞれの契約入居時期をイメージしやすくしています。
※1 11年目~13年目は、以下の①②のうちいずれか少ない方の金額が3年間に渡り所得税 の額等から控除される。
①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円(※3))のうちいずれか少ない 方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円(※3))の2%÷3
※2 新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ3,000万円
※3 新築・未使用の長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ5,000万円
※4 控除期間13年の措置の延長分については、所得制限を設けた上で床面積要件を40㎡以 上に緩和。
・契約期限(注文住宅は令和2年10月~令和3年9月、分譲住宅等は令和2年12月~令 和3年11月)と
入居期限(令和3年1月~令和4年12月)を満たす者に適用。
・40㎡以上50㎡未満については、合計所得金額1,000万円以下の者に適用。



住宅ローン控除の条件
契約や入居タイミング以外の住宅ローン控除を受けるための条件は次の通りです。
・自らが居住する住宅であること。
・床面積が50平方メートル以上であること。
・住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
・住宅ローンの適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること。
・中古住宅の場合、非耐火建築物(木造)で築20年以内、耐火建築物(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)で築25年以内であること。
・増改築の場合は工事費100万円以上であること
・自らが居住する住宅であること。
住宅ローン控除はマイホームとしての取得が要件の1つとなっています。住宅の引き渡し、あるいは工事の完了から6ヵ月以内に住むことが条件であり、住民票を移すことが必要です。投資用物件や親族の家などには適用されません。
・住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に住むこと。
・床面積が50平方メートル以上であること。
床面積が50平方メートル以上の広さがあることが要件です。戸建ては各階の床面積の合計、マンションの場合は専有部分の床面積で判断します。
・住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
9年以下の短期ローンでは控除されません。
・住宅ローンの適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること。
合計所得金額が3,000万円を超える年分の住宅ローン控除を適用を受けることはできませんが、3,000万円以下の年分については、受けることができます。
・中古住宅の場合、非耐火建築物(木造)で築20年以内、耐火建築物(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)で築25年以内であること。
上記の築年数を超える場合は、以下のいずれかを満たすものであること。
①一定の耐震基準に適合していることを証明されるもの。
耐震基準適合証明書、または耐震等級1以上と認められた既存住宅性能評価書、
②既存住宅売買かし保険に加入していること。
・増改築の場合は工事費100万円以上であること
増築・改築(リフォーム)の場合は、工事費が100万円以上の住宅が対象となります。
住宅ローン控除シミュレーション
住宅ローン控除額は年末におけるローン残高の1%ですが、これは最大額で、実際には1%を控除できる人は多くありません。一般の住宅(一戸建て)でどのくらいの控除額になるかシミュレーションしてみましょう。
※計算を簡略化するために金利と収入は変動しないものとする。
※35.90万円=22.25万円(所得税額) + 13.65万円(住民税からの控除限度額)
10年間の最大の控除額が400万円ですが、上記シミュレーションの結果だと控除税額の合計が約350万円になります。さらに13年間で控除額の合計は約380万円になります。13年間の控除額を見ても400万円に満たず、最大の控除を得るにはより高い物件を購入し、高い所得者が住宅ローン控除の恩恵を受けるようです。ただし上記シミュレーションは金利も収入の上昇も考慮せず、夫婦共働きではないという条件のもとでの試算になります。
より強く節税を意識するのであれば、たとえば夫婦とも働いていて、それぞれ所得税や住民税を支払っている場合、夫婦で別々のローンを組んだり、連帯債務形式でローンを組んだりして、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受ける方法を選択しましょう。
今後の住宅ローン控除制度について
現在は超低金利時代であり、変動金利0.5%で銀行で借り入れた場合、住宅ローン控除が1.0%の為、差し引き0.5%得することになっています。これは、住宅ローンを借り入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るという「住宅ローン控除制度」(住宅借入金等特別控除)の制度趣旨以上の還元を住宅の購入者が受けていることになります。報道によると令和3年度税制改正で下記のどちらか低い方が適用になると報道されていましたが、1年間見送りになりました。
①年末の住宅ローンの1%(最大40万円)
②年間の支払った金利
令和4年度税制改正では不平等な扱いを受けることなく、制度趣旨に沿った適正な控除額に調整するように見直されことになります。

まとめ
住宅ローン控除とは住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から10年間控除する制度。(さらに契約時期や入居時期の適用条件を満たすと控除期間が13年間に延長されます。)
~~住宅ローン控除を受ける為の条件~~
・自らが居住する住宅であること。
・床面積が50平方メートル以上であること。
・住宅ローンの借入期間が10年以上であること。
・住宅ローンの適用を受ける年の年収が3,000万円以下であること。
・中古住宅の場合、非耐火建築物(木造)で築20年以内、
耐火建築物(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)で築25年以内であること。
上記の築年数を超える場合は、以下のいずれかを満たすものであること。
①一定の耐震基準に適合していることを証明されるもの。
②既存住宅売買かし保険に加入していること。
・増改築の場合は工事費100万円以上であること
適用条件をよく確認しましょう。